譲受人が異議をとどめない承諾の再抗弁を提出するためには,かかる譲受人は善意であることを要するか(30講(第3版)414,415頁)
債務者が異議をとどめないで指名債権の譲渡の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない(468条1項前段)ところ,同項は,債務者が異議をとどめない承諾をした以上,譲受人は,通常,その債権には何らの抗弁もないものと信ずるのであり,そのような譲受人の信頼を保護する趣旨に出たものであるから,譲受人が善意であることを要する。
請求原因事実としての債権の発生原因事実と弁済の抗弁の関係(新問研49頁)
弁済とは,債務の内容である給付を実現させる債務者その他の者の行為をいい,これによって債権は当然にその目的を達して消滅する(474条以下)から,Yは弁済の抗弁の提出を要する。
請求原因事実としての売買契約締結の事実と通謀虚偽表示の抗弁との関係
相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効となる(94条1項)から,売買による所有権移転の効果が覆される。そのため,Yは通謀虚偽表示の抗弁の提出を要する。
貸金返還請求権における請求原因事実としての弁済期到来の事実(30講215頁)
貸金の返還を請求するためには,弁済期になっていることが当然に必要であるから,Xは弁済期の到来の主張立証を要する。
A・Y間の消費貸借契約に基づく貸金返還請求権における請求原因事実としての売買の事実(類型別125頁,新問研10頁)
債権の譲受人が債務者に対してその債務の履行を請求するためには,請求原因として,譲受債権の取得原因事実の主張立証を要する。売買は,当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し,相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって,その効力を生ずる(555条)から,Xは「売買契約を締結したこと」の主張立証を要する。
A・Y間の消費貸借契約に基づく貸金返還請求権における請求原因事実としての貸付けの事実(類型別26,27頁)
債権の譲受人が債務者に対してその債務の履行を請求するためには,請求原因として,譲受債権の発生原因事実の主張立証を要する。消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる(587条)ところ,消費貸借契約では,弁済期の合意は,単なる法律行為の付款ではなく,契約の本質的要素であるから,Xは,「AがYとの間で金銭の返還の合意をしたこと」,「AがYに対し金銭を交付したこと」,「AがYとの間で弁済期の合意をしたこと」の主張立証を要する。