田舎息子,和光へ向かう

1人の法律家の卵が日々の学修記録などを書きます

代理の要件事実(非顕名主義)

代理人がその権限内において本人のためにすることを示さずにした意思表示が,本人に対して直接にその効力を生ずることもあり,商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる(商法504条)ところ,「商人」とは,自己の名をもって商行為をすることを業とするものを意味し(同4条),会社がその事業のためにする行為は,当然,商行為となり(会社法5条),会社の行為は,通常,その事業のためにするものである(商法503条2項参照)から,Yは,例外的に,かかる法律行為の際に代理人が本人のためにすることを示したことに代えて,かかる法律行為の当時本人が会社であったことの主張立証をすれば足りる。

代理の要件事実(顕名主義)

代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は,当然に,本人に対して直接にその効力を生ずる(99条1項)から,Yは,原則として,代理人と相手方との法律行為,かかる法律行為の際に代理人が本人のためにすることを示したこと,上記法律行為に先立ち本人が代理人に対してかかる法律行為の代理権を授与したことを主張する必要がある。

登記保持権原の抗弁における抵当権設定契約締結の事実の存在(新問研114,115頁)

登記保持権原が認められるためには,当然,その登記が有効であることが必要であり,登記が有効であるためには,当然,その登記に符合する実体関係が存在することが必要であるから,Yは,上記の被担保債権を担保するために,D社との間で抵当権設定契約を締結したことを主張する必要がある。

所有権喪失―売買の抗弁と登記保持権原の抗弁との関係性

登記保持権原は,当然,これが認められることによって所有権喪失の抗弁の効果が復活するという関係にはないから,これとは別個の抗弁であり,所有権喪失―売買の抗弁と債務不履行解除の再抗弁を前提とした予備的抗弁となる。

私の使っている基本書(基本書まとめWiki@司法試験板(https://www27.atwiki.jp/kihonsho/)参照)

憲法(人権)】
芦部信喜高橋和之補訂)『憲法岩波書店(2015年3月・第6版)
佐藤幸治日本国憲法論(法学叢書)』成文堂(2011年4月〔☆改訂予定あり〕)
木村草太『憲法の急所 権利論を組み立てる』羽鳥書店(2017年3月・第2版)
憲法(統治)】
芦部信喜高橋和之補訂)『憲法岩波書店(2015年3月・第6版)
佐藤幸治日本国憲法論(法学叢書)』成文堂(2011年4月〔☆改訂予定あり〕)
宍戸常寿『憲法 解釈論の応用と展開(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2014年7月・第2版)
行政法
櫻井敬子・橋本博之『行政法』弘文堂(2016年2月・第5版)
原田大樹『例解行政法東京大学出版会(2013年10月)
橋本博之『行政法解釈の基礎:「仕組み」から解く』日本評論社(2013年12月)
民法(全般)】
潮見佳男『入門民法(全)』有斐閣(2007年12月,2011年12月・補訂、最終版15刷。☆2017年6月『民法(全)』に改題。)
村田渉・山野目章夫編著『要件事実論30講』弘文堂(2012年3月・第3版)
民法(総則)】
佐久間毅『民法の基礎1 総則』有斐閣(☆2018年4月・第4版)
民法(物権)】
佐久間毅『民法の基礎2 物権』有斐閣(2010年3月・補訂2版)
民法担保物権)】
道垣内弘人『担保物権法(現代民法III)』有斐閣(☆2017年6月・第4版)
民法(債権総論)】
潮見佳男『プラクティス民法 債権総論(プラクティスシリーズ)』信山社(2012年4月・第4版)
民法(契約法)】
山本敬三『民法講義IV-1 契約』有斐閣(2005年11月)
民法事務管理・不当利得)】
潮見佳男『基本講義債権各論I・II(ライブラリ法学基本講義)』新世社(I 契約法・事務管理・不当利得: 2017年6月・第3版,II 不法行為法: 2017年12月・第3版)
民法不法行為)】
吉村良一『不法行為法』有斐閣(2017年2月・第5版)
民法家族法)】
前田陽一・本山敦・浦野由紀子『民法VI 親族・相続(LEGAL QUEST)』(2017年3月・第4版)
【商法】
森本滋『会社法・商行為法手形法講義』成文堂(2014年4月・ 第4版)
江頭憲治郎『株式会社法有斐閣(2017年11月・第7版)
東京地方裁判所商事研究会編『類型別会社訴訟I・II』判例タイムズ社(2011年12月・第3版)
民事訴訟法】
上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『民事訴訟法(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2017年3月・第7版)
小林秀之『ケースでわかる民事訴訟法』日本評論社(2014年9月)
村田渉・山野目章夫編著『要件事実論30講』弘文堂(2012年3月・第3版)
【刑法】
山口厚『刑法』有斐閣(2015年2月・第3版)
山口厚『刑法総論』『刑法各論』有斐閣(2016年3月・第3版、2012年1月・第2版補訂版)
杉山 博亮「刑法教育における構成要件の図式化の試み (岩井宜子教授 退職記念号)」専修ロージャーナル7巻145頁(2012年1月)
刑事訴訟法
三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2017年3月・第7版)
酒巻匡『刑事訴訟法有斐閣(2015年11月〔☆2018年刊行予定・第2版〕)
杉山 博亮「刑法教育における構成要件の図式化の試み (岩井宜子教授 退職記念号)」専修ロージャーナル7巻145頁(2012年1月)
【倒産法】
山本和彦『倒産処理法入門』有斐閣(☆2018年3月・第5版)
伊藤眞『破産法・民事再生法有斐閣(2014年9月・第3版)
永石一郎ほか著『倒産処理実務ハンドブック』中央経済社(2007-04)
【経済法】
川濵昇・瀬領真悟・泉水文雄・和久井理子『ベーシック経済法 独占禁止法入門(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(2014年5月・第4版)
金井貴嗣・川濵昇・泉水文雄編著『独占禁止法』弘文堂(☆2018年4月・第6版)
村上政博『独占禁止法における事例分析―司法試験経済法過去問の検討と評価』中央経済社(2016年4月)
【要件事実】
司法研修所編『新問題研究要件事実』法曹会(2011年9月)
司法研修所編『紛争類型別の要件事実』法曹会(2006年9月・改訂)
村田渉・山野目章夫編著『要件事実論30講』弘文堂(2012年3月・第3版)
【民事執行・保全法(全般)】
上原敏夫・長谷部由起子・山本和彦『民事執行・保全法(有斐閣アルマ)』有斐閣(2014年3月・第4版)
平野哲郎『実践民事執行法民事保全法日本評論社(2013年9月・第2版)
【民事執行・保全法(民事執行法)】
中野貞一郎『民事執行法』青林書院(2010年10月・増補新訂6版)
【民事執行・保全法(民事保全法)】
瀬木比呂志『民事保全法日本評論社(2014年7月・新訂版)
【民事事実認定】
河村浩・中島克巳『要件事実・事実認定ハンドブック ダイヤグラムで紐解く法的思考のヒント』日本評論社(2017年9月・第2版)
【刑事事実認定】
司法研修所編『刑事判決書起案の手引』法曹会(2007年6月・平成19年版)

所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求権における請求原因事実としてのY名義の登記の存在の主張立証の方法(新問研112-113頁)

物権的請求権は,物権の円満な実現が妨げられ又はそのおそれがあるという現在の状況を排除するために許容されるものであるから,本件土地について,現在(口頭弁論終結時),Y名義の抵当権設定登記が存在していることの主張立証を要する。