同時履行の抗弁権の存在効果説(類型別5頁)
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる(533条本文)ところ,同時履行の抗弁の存在は,当然に,履行遅滞の違法性阻却事由に当たるから,Xは,同時履行の抗弁権の存在効果を消滅させるため,「催告以前に債権者が自己の債務について履行の提供をしたこと」の主張立証を要する。
債務不履行解除の再抗弁における解除の意思表示の事実
契約により当事者の一方が解除権を有するときは,その解除は,当然,相手方に対する意思表示によってすることを要する(540条)から,Xは「債権者が債務者に催告期間経過後に解除の意思表示をしたこと」の主張立証を要する。
債務不履行解除の再抗弁における履行催告及び催告後相当期間経過の事実
当事者の一方がその債務を履行しない場合において,相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,相手方は,通常,契約の解除をすることができる(541条)から,Xは,「債権者が債務者に履行の催告をしたこと」,「催告後相当期間が経過したこと」の主張立証を要する。
所有権喪失―売買の抗弁と債務不履行解除の再抗弁との関係性
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う(545条1項本文)ところ,かかる解除があれば,契約は当然に遡及的にその効力が消滅するから,Xは,所有権喪失―売買の抗弁に対し,債務不履行解除の再抗弁を提出する必要がある。
登記保持権原の抗弁における基づく登記の存在
登記が有効であるためには,当然,その登記が手続的に適法にされたことも必要であるから,Yは登記が抵当権設定契約に基づくことを主張立証する必要がある。